2013年7月24日水曜日

ポルトガルに入国(してました)

ほろ酔い加減のオリーブ畑キャンプから一夜明け、
明け方間もない時間から走り出したおかげで、午前中にはポルトガルへ入った。
いや、正確には入っていたというのが正しいけれど。

スペイン側国境にはバダホスという規模の大きな街が広がっていたのだけれど、
郊外にある国境の方に向かうにつれて、随分さみしげな何もない風景に変わっていく。
かつては賑わいをみせたであろう両替所の名残の建物を横目にドブ川のような
ひなびた河川を越えた。
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どこの国境にも言えることだが、たいてい国境線というのは川か山のラインに沿って
引かれていることが多い。
このドブ川がまさかなー、と思いつつ一度引き返して周囲を見渡すと、
並走する高速道の向こうに国境を示す看板が。
やっぱり国境はここだったようだ。
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ところが、僕の走る下道にはポルトガルを示すものは、いくら探せどなかった。
『ようこそポルトガル』も『ここからポルトガル』も一切なし。
草木の切れ間からのぞく高速道のサインだけがポルトガル入国を示すそれだった。

陸路でポルトガルに入る場合、今回のようにスタンプも入国審査もいらない。
EU圏内のヒト・モノ・カネをスムーズに潤滑させるためのこのシステムは、
旅行者にとっては、国境越えのあの独特の空気を感じる機会を奪った。
どんな国でも国境をまたげば、何かの違いを感じ取れるものなのに、
今回ばかりはそうはいかなかった。
いつポルトガルに入ったかも分からず、今までと同じようなスペイン道が延びているだけだ。
おまけこのVISAフリーシステムは短期旅行者にとっては煩わしい手続きが削減されて
いいのかもしれないが、僕ら長期旅行者にとっては困ったシステム。
何しろ半年間でEU圏内にはトータル3ヶ月分しか滞在許可が出ないのだから。
狭いヨーロッパといっても端から端まで走れば、優に数ヶ月はかかってしまう。
基本的に半年後を待たなければ、滞在期間のリセットがなされないというこの随分困ったシステム。
かんべんしてほしいものだ。

国境の緊張感も感じられず、長期滞在も許されず、そして高額な物価…
道路事情と合わせてヨーロッパは今や世界で一番自転車旅がしづらい地域の一つかもしれない。

国境から10kmほど走って、ようやくポルトガル最初の街エルバシュへ。
遠目からでも分かる立派な城塞跡が丘に立ち目に引く街だ。
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スペインのバダホスにもごつい城壁があったので、このあたりは昔のスペイン・ポルトガルの
進駐地最前線であったのだろう。
街の外れにはこれまたよく出来た水道橋が綺麗に保存されていた。
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エルバシュを過ぎると、周囲はスペイン以上にのどかになった。
こののどかさを演出しているのが、羊や牛の首元につけられたカウベル。
風にたなびく草原にカランコロンという音色が、のんびりとした日曜の昼下がりに響いた。
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景色は実に長閑で良いのだが、実はセビージャあたりから風邪を引いていた。
幸いにして、熱の出る類ではないのだけれど、思い切り鼻にきた風邪で、
次から次へと奇跡の泉のように鼻水が湧いてくる。
少し汚い話で恐縮だが、停まって鼻を噛むのは紙も時間も無駄なので、
もはや走りながら片手で、片鼻を塞いで「フン!」っと勢いで空中に鼻水を散らした。
あんまやる人いないと思うけど、これ勢い良くやるのがポイントです。
中途半端だと自爆します。
そんなわけで、カウベルが響くのんびりとした青空の下に、もう一つズビビ、ブビビーっという
実に品のない音も鳴り渡ったのである。

この日は首都リスボンまで150km手前の街でストップ。
一応、ホステルを調べておいたのだが、不在。
というか街なかの宿のほとんどが不在だった。
日曜だからって、働いてくれよと心で舌打ちしつつ後回しにしていた2つ星ホテルを訪ねると
ここには従業員が1人いて、愛想もよかったので、もうここでいいやと泊まることに。
昨日、野宿したしまぁメリハリってことで。
それいポルトガルに入って一回り物価が下がったし。

この2つ星ホテルで20ユーロ。
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やりますな、ポルトガル。

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