飛行機が下降体制に入ると、足元に広がるどんよりとした雲海を一気突き抜けて、下界に出た。
眼下に広がるは褐色の大地。
アンデスのアルティプラーノともパタゴニアの荒野とも違う、アフリカの大地だった。
大地の続く向こう側に目をやると、なにやら異様な影が見える。
影の正体はアトラス山脈だった。
その隆起は見渡す限りどこまでも果てなく続いている。
このアトラス山脈が北モロッコと南モロッコの気候を大きく隔て、山の向こうにはあのサハラ砂漠が広がっているのだ。
目的地のマラケシュに近づくとところどころにオリーブの畑がのぞいて、緑のコントラストが鮮明に映える。
そしてマラケシュ・メナラ国際空港に到着した。
こんな小さな飛行機でした。
入国管理局に歩いて向かうと、管理局の入り口で一人の男が腕を組んで仁王立ちしている。
『サンパウロからきたのはお前か?』
一体何だ?何も悪いことはしてないぞ。
僕は男に連れられそのまま別室へ。さらに空港警備隊のような人がやってきてあれやこれや調べられる。
荷物を全部その場で開けられ、麻薬犬のチェックを受ける。
麻薬犬はクンクン、ベロベロと僕の荷物を嗅ぎ回し、舐め回した。
おそらくだが、僕は持病の薬を大量にキャリーしている。それが引っかかったのではないか。
ひととおりチェックを受けた後、解放される。
手元に戻ったパスポートにはしっかり入国のスタンプが押されている。
僕のカバンには麻薬犬ベン(仮名)の臭い唾液の臭いをつけられての特別待遇での入国だった。
気を入れなおして空港の入り口で自転車を組み立てる。
大きな破損はなかったが自転車の鍵が盗まれていた。
サンパウロの空港は職員による盗難もあるとは聞いていたが、僕が当事者になるとは。
鍵なんて盗んでどうするの?なんて思うかもしれないが僕の鍵はダイヤル錠になっているから
手間と時間を惜しまなければいつかは開けることが出来るのだ。
まったくヒマなブラジル人だ。。。
滞り無く自転車を組み上げた後にこの国に流れる乾いた空気に気がついた。
アルゼンチン・ブエノスアイレス以降、ずっと湿度の高い地域にいたので、
この空気はアンデスやパタゴニアを想起させる。
僕は東南アジアには一度しか行ったことがないし、蒸し暑い福島盆地で育ったわけだから
こうした乾燥した空気感は、異国にやってきたことを感じさせる一種のバロメーターである。
さて、行ってみますか!
さっそくアラビア文字でのお出迎え。
右から読むそうだが、まったく読めないしさすがにこれは覚えれる自信がない。
まぁなんとかなるだろ。
モロッコの道路は中米諸国など低所得の国によく見受けられたように二輪車が非常に多い。
フランスの支配下にあった歴史柄か、モペットと呼ばれる自転車用のペダル付き原付バイクがほとんど。
僕も学生時代はプジョーのモペットに乗っていたので、少し懐かしい気持ち。
大して馬力もないのに、二人乗りなんてするもんだから、
ブィィーンという頼りなく呑気なエンジン音が、乾いた空気に紛れなく響く。
そんなモペットの男たちに囲まれて僕は走る。
左右には赤い土壁で出来た住宅が立ち並ぶ。
やがてメディナと呼ばれる城壁で囲まれたマラケシュの旧市街に入った。
路上のオレンジ売り、遠くに見えるイスラムのミナレット、ジュラバと呼ばれるローブをまとった男たち…
人が一人やっとすれ違える程度の細い路地に入ると、独特のスパイスの匂いが立ち込めている。
不意にどうしてここにいるんだろう?と思い、すぐさまその強烈な違和感にクックックッと笑えてきた。
モロッコにきたのだ。
これから始まる新しい世界をできるかぎりのぞいてみたいと思う。
遠くでは、相変わらずモペットの呑気なエンジン音が響いている。
眼下に広がるは褐色の大地。
アンデスのアルティプラーノともパタゴニアの荒野とも違う、アフリカの大地だった。
大地の続く向こう側に目をやると、なにやら異様な影が見える。
影の正体はアトラス山脈だった。
その隆起は見渡す限りどこまでも果てなく続いている。
このアトラス山脈が北モロッコと南モロッコの気候を大きく隔て、山の向こうにはあのサハラ砂漠が広がっているのだ。
目的地のマラケシュに近づくとところどころにオリーブの畑がのぞいて、緑のコントラストが鮮明に映える。
そしてマラケシュ・メナラ国際空港に到着した。
こんな小さな飛行機でした。
入国管理局に歩いて向かうと、管理局の入り口で一人の男が腕を組んで仁王立ちしている。
『サンパウロからきたのはお前か?』
一体何だ?何も悪いことはしてないぞ。
僕は男に連れられそのまま別室へ。さらに空港警備隊のような人がやってきてあれやこれや調べられる。
荷物を全部その場で開けられ、麻薬犬のチェックを受ける。
麻薬犬はクンクン、ベロベロと僕の荷物を嗅ぎ回し、舐め回した。
おそらくだが、僕は持病の薬を大量にキャリーしている。それが引っかかったのではないか。
ひととおりチェックを受けた後、解放される。
手元に戻ったパスポートにはしっかり入国のスタンプが押されている。
僕のカバンには麻薬犬ベン(仮名)の臭い唾液の臭いをつけられての特別待遇での入国だった。
気を入れなおして空港の入り口で自転車を組み立てる。
大きな破損はなかったが自転車の鍵が盗まれていた。
サンパウロの空港は職員による盗難もあるとは聞いていたが、僕が当事者になるとは。
鍵なんて盗んでどうするの?なんて思うかもしれないが僕の鍵はダイヤル錠になっているから
手間と時間を惜しまなければいつかは開けることが出来るのだ。
まったくヒマなブラジル人だ。。。
滞り無く自転車を組み上げた後にこの国に流れる乾いた空気に気がついた。
アルゼンチン・ブエノスアイレス以降、ずっと湿度の高い地域にいたので、
この空気はアンデスやパタゴニアを想起させる。
僕は東南アジアには一度しか行ったことがないし、蒸し暑い福島盆地で育ったわけだから
こうした乾燥した空気感は、異国にやってきたことを感じさせる一種のバロメーターである。
さて、行ってみますか!
さっそくアラビア文字でのお出迎え。
右から読むそうだが、まったく読めないしさすがにこれは覚えれる自信がない。
まぁなんとかなるだろ。
モロッコの道路は中米諸国など低所得の国によく見受けられたように二輪車が非常に多い。
フランスの支配下にあった歴史柄か、モペットと呼ばれる自転車用のペダル付き原付バイクがほとんど。
僕も学生時代はプジョーのモペットに乗っていたので、少し懐かしい気持ち。
大して馬力もないのに、二人乗りなんてするもんだから、
ブィィーンという頼りなく呑気なエンジン音が、乾いた空気に紛れなく響く。
そんなモペットの男たちに囲まれて僕は走る。
左右には赤い土壁で出来た住宅が立ち並ぶ。
やがてメディナと呼ばれる城壁で囲まれたマラケシュの旧市街に入った。
路上のオレンジ売り、遠くに見えるイスラムのミナレット、ジュラバと呼ばれるローブをまとった男たち…
人が一人やっとすれ違える程度の細い路地に入ると、独特のスパイスの匂いが立ち込めている。
不意にどうしてここにいるんだろう?と思い、すぐさまその強烈な違和感にクックックッと笑えてきた。
モロッコにきたのだ。
これから始まる新しい世界をできるかぎりのぞいてみたいと思う。
遠くでは、相変わらずモペットの呑気なエンジン音が響いている。
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