2013年6月25日火曜日

アトラスの向こう側

イミルシルの街を出発して数km先にある湖を越えるとアトラスの向こう側に出た。
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2週間前にマラケシュを出発して以来のアトラス山脈の北側は明らかに様相が南側と変わった。
背の低い灌木帯がところどころに目につくようになったのだ。
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これまでの南側は集落や渓谷の川沿いにしかこの緑の絨毯がなかった。
緑と表現するには、峠付近のこのあたりでは似つかわしくないのかもしれないけれど
明らかに“変わった”と思える瞬間だった。
峠向こうの下り坂を下りるにつれ、その緑のコントラストはぐいぐいと濃さを増す。
アルプス造山活動の一環として太古の昔に隆起したアトラス山脈。
所々で波状に褶曲した地層の断面が目に付くが、次第にそれも緑で覆われていく。
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大きなダウンヒルコースを終えて、濁濁とした色の川と並走するところまで下りる頃には、
だいぶ背の高い植物も目につくようになってきた。
トドラでも見かけたアーモンドが桜に似た花を咲かせ、より一層南との違いを鮮明に演出する。
あとで知ったのだけれど、アーモンドってバラ科のサクラ属に当たるんですね。納得。
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『春だねぇー』
後ろからやってきた、ようこさんが嬉しそうに言う。
『春ですなー』
僕とひろさんもしみじみ思う。

今朝までいた世界とは一体何だったのか。
まるで夢のようだけれど、ふと後ろを振り返るとわずかに雪を蓄えたアトラス山脈が君臨している。

本日はアゴバラという小さな街でストップ。
途中の分岐でさらにローカル道に入ってしまっていたので街の規模が心配だったけれど
モロッコの片田舎にしては十分な規模だった。
このあたりになると、建築物も土壁の住居は皆無でレンガ作りの家がほとんど。
待ちゆく女性も顔を出している人が多く、伝統衣装を纏う人も少ない。
ここはモロッコというより、どことなくエクアドルの田舎街を思いださせるようだった。
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少しだけホッとしたような、懐かしいような気持ちだった。
サハラ側に比べて、比較的馴染みのある文明に戻ってきたようで。
旅の根本って今まで知りえなかった世界を体感してみたいという好奇心から為るものだと
思うけれど、元いた世界に戻ってくることで落ち着いてしまうのも事実。

明日には幹線道路に復帰する予定。

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