定刻より1時間遅れで飛行機は、滑走路を飛び立った。
体全体を抑える重力に軽い抵抗感を感じながら窓の外を見ると
サンパウロの街の広がりがどんどん小さくなっていった。
旋回をしながら高度を上げる飛行機は、やがてサンパウロ名物・夕刻の雷雲に飛び込んだ。
一瞬、窓の外が暗くなったが、すぐにさきほど以上の明るさを取り戻す。
雲の上には青空が広がっていた。
窓から外を眺めると、雲の切れ間からサンパウロ市街がまだ見えた。
ただ、随分と小さくなった。
ふと前の座席に付いているモニターに目をやると標高が2000mと表示されている。
雲の上まで飛行機はのぼったというのに、まだそんな程度なんて。
ボリビアからチリに抜けるとき、僕の自転車は最高地点4900mを記録した。
徒歩に限って言えば6000mを越える山にも登った。
いま僕の目の前に延々広がるのは僅か2000mの雲海。
機体はぐんぐんと高度を上げていく。
まだまだ。
まだまだ。
僕の知っているこの大陸の背中はもっと高いところにある。
まだまだこんなもんじゃない。
そう思いつつ、モニターに表示される高度と窓の外の雲海を交互に眺めた。
しばらく過ぎて、機体が安定圏に入ると、パンッと機械的な音が機内に響き
乗客がカチャカチャとシートベルトを外し出した。
この時、高度はモニターに表示されていなかったが、
この音を聞いて、僕の南米はようやくここで終わったのだと思った。
いや終わってしまったのだった。
体全体を抑える重力に軽い抵抗感を感じながら窓の外を見ると
サンパウロの街の広がりがどんどん小さくなっていった。
旋回をしながら高度を上げる飛行機は、やがてサンパウロ名物・夕刻の雷雲に飛び込んだ。
一瞬、窓の外が暗くなったが、すぐにさきほど以上の明るさを取り戻す。
雲の上には青空が広がっていた。
窓から外を眺めると、雲の切れ間からサンパウロ市街がまだ見えた。
ただ、随分と小さくなった。
ふと前の座席に付いているモニターに目をやると標高が2000mと表示されている。
雲の上まで飛行機はのぼったというのに、まだそんな程度なんて。
ボリビアからチリに抜けるとき、僕の自転車は最高地点4900mを記録した。
徒歩に限って言えば6000mを越える山にも登った。
いま僕の目の前に延々広がるのは僅か2000mの雲海。
機体はぐんぐんと高度を上げていく。
まだまだ。
まだまだ。
僕の知っているこの大陸の背中はもっと高いところにある。
まだまだこんなもんじゃない。
そう思いつつ、モニターに表示される高度と窓の外の雲海を交互に眺めた。
しばらく過ぎて、機体が安定圏に入ると、パンッと機械的な音が機内に響き
乗客がカチャカチャとシートベルトを外し出した。
この時、高度はモニターに表示されていなかったが、
この音を聞いて、僕の南米はようやくここで終わったのだと思った。
いや終わってしまったのだった。