トルウィンからウシュアイアまではいよいよ100kmほど。
いよいよ今日1日で到着できてしまうところまでやってきた。
トルウィンの手前辺りからただただ地平線が広がる退屈な景色が、
突如としてキリリとした山々が連なる山脈に変わり、周りを南極ブナの森が覆い、
川の流れる先には大きな湖があった。
ここにきて景色が劇的に変化し、南米のフィナーレを演出しようとしている。
お世話になったパン屋に礼を言って出発。
森と山に阻まれた地形のせいか、ここから西向きに進む道のりなのに全く風は感じなかった。
だから一漕ぎ一漕ぎと近づく南米の終焉をどう迎えるべきか、考える時間が多くなった。
パン屋の優しさを胸に一気にゴール!もいいのだけれど、何かもっといい終わりの迎え方がないだろうか。
ぼんやり考え事をしても景色はどんどんと流れ、
やがてエスコンディド湖を抜け、最後のアンデス越えガリバルディ峠に差し掛かった。
そこそこ傾斜はあるけれど、わずか500m程度の峠道。
幾度と無く越えてきたアンデスの山々を思えば朝飯前だった。
そうして峠を越え下りを下りきる。
その先はゆるゆるとしたアップダウンがあるものの、少しづつウシュアイアへ近づく。
30km…25km…20km…
ロードサイドのKmポストから逆算される距離は確実にウシュアイアを引き寄せる。
どうしよう、このままでは南米が、
南米が終わってしまう。
残り15kmほどとなったところで、僕はブレーキをかけ、ペットボトルの水を飲み干ししばし考えた。
やっぱり、今日ゴールはできない。
最後は森の中でキャンプして明日ゴールしようと思った。
もはや記憶が曖昧なのだが
どこかの大学の研究員グループがアンデスかアマゾンかどこか南米の先住民族を現地ガイドとして雇い、
何日もかけて彼らのルーツを探る旅に出かけた。
スケジュールも順調にこなしていたある日、先住民たちは突然その場に座りこんでしまった。
報酬をあげるといっても、彼らは頑なに動こうとせず、そしてこう言った。
“我々は早く来すぎた。おかげで魂を置いてきてしまったのだ。”と。
たしかこんな話だったと思う。
いまウシュアイアを目の前にした僕もまさにそんな気持ちで、
このまま勢いでゴールしてもきっと心から納得出来ない様な気がした。
今日は森の中でキャンプをして、じっとこれまでの旅を振り返ろう。
そうして僕の魂がここに追いつくのを待とう。
そう思って、そのまま近くの森の中へと自転車を運び入れた。
グレー色の空模様は夕方になると雨を運んできた。
フカフカの腐葉土の上に張ったテントに雨粒が落ちる。
遠くで何かの鳥が鳴く声がする。
それらの音を耳にしながら、じっとこれまでの旅を思いかえし、魂が追いつくのをひた待った。
いよいよ今日1日で到着できてしまうところまでやってきた。
トルウィンの手前辺りからただただ地平線が広がる退屈な景色が、
突如としてキリリとした山々が連なる山脈に変わり、周りを南極ブナの森が覆い、
川の流れる先には大きな湖があった。
ここにきて景色が劇的に変化し、南米のフィナーレを演出しようとしている。
お世話になったパン屋に礼を言って出発。
森と山に阻まれた地形のせいか、ここから西向きに進む道のりなのに全く風は感じなかった。
だから一漕ぎ一漕ぎと近づく南米の終焉をどう迎えるべきか、考える時間が多くなった。
パン屋の優しさを胸に一気にゴール!もいいのだけれど、何かもっといい終わりの迎え方がないだろうか。
ぼんやり考え事をしても景色はどんどんと流れ、
やがてエスコンディド湖を抜け、最後のアンデス越えガリバルディ峠に差し掛かった。
そこそこ傾斜はあるけれど、わずか500m程度の峠道。
幾度と無く越えてきたアンデスの山々を思えば朝飯前だった。
そうして峠を越え下りを下りきる。
その先はゆるゆるとしたアップダウンがあるものの、少しづつウシュアイアへ近づく。
30km…25km…20km…
ロードサイドのKmポストから逆算される距離は確実にウシュアイアを引き寄せる。
どうしよう、このままでは南米が、
南米が終わってしまう。
残り15kmほどとなったところで、僕はブレーキをかけ、ペットボトルの水を飲み干ししばし考えた。
やっぱり、今日ゴールはできない。
最後は森の中でキャンプして明日ゴールしようと思った。
もはや記憶が曖昧なのだが
どこかの大学の研究員グループがアンデスかアマゾンかどこか南米の先住民族を現地ガイドとして雇い、
何日もかけて彼らのルーツを探る旅に出かけた。
スケジュールも順調にこなしていたある日、先住民たちは突然その場に座りこんでしまった。
報酬をあげるといっても、彼らは頑なに動こうとせず、そしてこう言った。
“我々は早く来すぎた。おかげで魂を置いてきてしまったのだ。”と。
たしかこんな話だったと思う。
いまウシュアイアを目の前にした僕もまさにそんな気持ちで、
このまま勢いでゴールしてもきっと心から納得出来ない様な気がした。
今日は森の中でキャンプをして、じっとこれまでの旅を振り返ろう。
そうして僕の魂がここに追いつくのを待とう。
そう思って、そのまま近くの森の中へと自転車を運び入れた。
グレー色の空模様は夕方になると雨を運んできた。
フカフカの腐葉土の上に張ったテントに雨粒が落ちる。
遠くで何かの鳥が鳴く声がする。
それらの音を耳にしながら、じっとこれまでの旅を思いかえし、魂が追いつくのをひた待った。
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