2013年4月10日水曜日

充電という名の怠惰

パタゴニア観光の拠点の一つであるエル・カラファテは、
アルゼンチンを南北に貫くルタ40から30kmほど外れたところに位置する街。
カラファテへ向かう分岐はほぼ真西に向かって伸びる道なので、高確率で強い向かい風に晒される。
多分に漏れず、僕も向かい風の手荒い歓迎を受け、ときおり立っているのもやっとなほどの風を浴びた。
風という見えない壁を一生懸命押しながら進んでいる感じ。
いよいよパタゴニアの風を感じる地域にやってきたのだと思いつつ、せっせとペダルを回した。

途中、アウストラル街道序盤で出会ったブラジル人チャリダーのリロと再会した。
カラファテから出発したリロにとって、この風は追い風となる。
『ここまで30分で来たんだぜ!』
そう嬉しそうに話す彼は、再び風に乗って颯爽と消えていった。

カラファテの街は、チャルテンとは比べ物にならないほど都会だった。
メインストリートには土産物屋、レストランがびっしりと詰め込まれていた。
何より嬉しいのは、コジャイケ以来やっとスーパーが復活したこと。
チリ側に比べると、値段は高めだけど、必要なものがすべて揃う品揃えは、何者にもまさる安心感だ。

町外れにある日本人宿の藤旅館を訪ねると、運良くベッドがひとつ空いていた。
今がどシーズンのパタゴニアだけあって、かなり人気の宿のよう。

ここでアウストラルで泥だらけになった装備の洗濯と近くにある大氷河のペリト・モレノ氷河を観光したら
さくっと出発しようと思っていた。

思っていたと書くと、すでにオチが予想出来るようで大変恐縮なのだが、
結局のところ…

17泊した 笑

こうなってしまった言い訳はたくさんある。
到着してしばらくは天気が優れず、氷河観光に出かけた旅行者がずぶ濡れで帰ってきたので、
氷河に行く天気を見極めていたり、
久しぶりに日本人旅行者と話すのが楽しくて、つい長話になったり、
そうこうしているうちにモトミくんがやってきてサンティアゴ以来の再会をしたり、
出発しようとした2日後から長期滞在の割引が適用されることになったり…

まぁ言ってしまえば、ニートさんもびっくりのぐうたら生活を送っていたわけだ。
その間、1日だけペリトモレノに観光に出かけた以外、ほとんど何もしていなかった。
近くのスーパーに通い詰め、毎日牛肉に食らいつき、ワインを飲んで酔っ払った。
ベッドに横になるのも億劫になり、リビングにあるごろ寝マットが僕の寝床になった。

物価の高いアルゼンチンパタゴニアでぐうたら生活などしていたら、
とんでもない出費になってしまうのだけれど、
嬉しいことにオーナー夫人が僕に毎日2時間程度の仕事を与えてくれた。
初めは宿の貸し自転車の修理から始まって、庭の草むしり、台所の油汚れ掃除…と仕事をこなしていった。
特に草むしりはやりごたえのある生えっぷりで、80Lくらいのゴミ袋に換算して15袋くらいはむしったと思う。
毎日遅くに帰ってくる、オーナー夫人が『ほんと、綺麗なりましたねー』と言ってくれるのが嬉しくて
毎日懸命にむしった。

この17日間はほぼ草むしり、スーパー、焼肉の3つの単語だけで振り返れるほど
単調に過ぎた日々だったが、こうやってゆっくりと自転車に跨るための気力を養うのも大切な時間。
(という言い訳にも見えるが。。。)

地図で振り返ってみると、ずいぶんと南米大陸の先っちょの方までやってきた。
残り約1000km。
二度とないかもしれない憧れの地で過ごす時間、ゆっくり焦らず楽しんでいこうと思う。

『え、明日アサード(BBQ)やるんすか?
じゃあ、もう一泊延長でお願いします』


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