2013年2月23日土曜日

降り続く雨

オソルノから降りだした雨は、その後、毎日降り続いた。
時折、雨の切れ間があるものの、空は変わらずどんよりとした空が広がる。
この後に予定しているチリ南部のフィヨルド地帯カレテラアウストラルは世界的にも雨が多い地方。
どうせそこで必ず雨に降られるので、小雨程度だったら雨待ちしても仕方ないと走りだすことにした。
もちろんあの事故のこともあるので、無茶な走行はしない。

雨の走行の中到着したプエルト・モン。
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高速道路をひたすら伝ってここまで南下してきたが、大きな街はここで最後。
この辺になると、木造の家屋にチリらしいカラーリングの家々が目立つ。
いい意味でも悪い意味でも、奇抜でちょっとダサイ色の組み合わせに思う。
ただこのダサさがチリらしくて僕は好きだ。
そして降水量が多い地域のせいか、褪せた色の壁がなんとも言えない寂しさを醸し出している。
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太平洋の内海に位置するこの街は、アンヘルモと呼ばれる海鮮市場があり、
大型連休のせいで海鮮を楽しめなかったビーニャでの雪辱を期していたが個人的にはかなりの
期待はずれ…。
中南米で見られるメルカドの雰囲気は一切無く、綺麗な建物に区画分けされた店々。
売っている魚のバリエーションも少なく、冷凍モノも目立った。
併設されているレストランはほとんど観光客向けといった様相で、
この街の暮らしの末端が見えてくるようなエッセンスは見出すことが出来ず、写真すら撮らなかった。

それでも、この街では嬉しい再会があった。
去年、ニカラグアのオメテペで会い、コスタリカ、ペルーーで再会を繰り返した
台湾人のリンさんとススムさんのカップル。
自転車で旅していると当然、バックパッカーとの移動ペースは違ってくる。
なのでこうして、何度も逢えるのはとても嬉しい。
彼女たちはこの夏、カナダに出稼ぎに行っていた期間はあるものの、
各国をゆっくりじっくり回っているので、自転車で旅している僕よりもマニアックな場所に行っていたりする。
そんなリンさん、進さんと久々の再会話を楽しみながら、このあたりの名物料理である
貝と肉のごった煮クラントをつつき合った。

二人と、もう少し一緒に居たかったのだが
これから向かうチロエ島から本土へ渡るフェリーが週1本だったので
それを逆算していくと、ここでゆっくりしている場合ではなかった。

プエルトモンから半日走ってチロエ島へと渡るフェリーの渡し場に着いた。
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小雨だった空模様が、フェリーの出港時刻ぐらいになると雨脚が強くなってきた。
急に降りだした雨と強風で僕は、デッキでガタガタと震えていた。
と、そこに一人のセニョールが、
“中で待ちなさい、寒いよ”
と僕を自分の車の中に入れてくれた。
わずか30分ほどの後悔でフェリーはチロエ島に到着し、
このまま街まで乗って行く?という彼の親切を感謝とともに断り、走りだした。
この頃にはすっかり雨が上がって、左手には海と空の境界線のない鈍色が視界を覆い尽くしていた。
雨は寒いし、汚れし、危ないし、あんまりいい事がないので嫌いだ。
けれどこんな雨あがりなら、たまには悪くないなと思いました。

雨具を脱いで走りだした僕の横を、プップッとさっきのセニョールが短いクラクションを鳴らし、追い抜いていった。
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