2013年2月19日火曜日

いざないの言葉

『チリには美しく終わりのない森、湖、火山やフィヨルドの迷宮、氷河や島が点在している。
国土の幅は最も広い場所でも200kmを超えない。
だから、朝、海に飛び込んで、昼には雪をかぶった山の頂上で昼食をとることもできるんだ』

数年前、アンデスに佇むアルパカの表紙が気に入って手に取ったとある雑誌。
その中にこの一節があった。
端的ながら、チリの国土をうまく表現している冗談めいたこの一節は僕のお気に入りだった。
当時の僕は、このフレーズから、対岸というには果てしなく遠い太平洋の向こう側に羨望に近い旅情を抱いたものだ。
話はいまに変わって。
学生時代に知り合った彼女に会いに僕はサンティアゴに戻った。
彼女の自宅は、僕がサンティアゴで滞在していたホテルの僅か数ブロック隣だった。
こんなにも近くにいながら、すれ違うことなく過ぎていったサンティアゴでの日々と、
閃きのように彼女のことを思い出し、この街に舞い戻ったことを、偶然はいつだって紙一重だなと思いつつ、家の扉をノックした。

7年?8年ぶりに会う彼女は当時の面影はそのままで、けれども、きっと素敵な時間を過ごしてきたのだろうと、
一目で感じる大人の女性になっていた。

互いの空白の時間を埋める話に花が咲く。
そんな中、彼女は先の雑誌の製作に関わっていたことを知り、さらには冒頭の言葉の持ち主が、
彼女の夫であるマウさんだということを知って驚いた。
夕食時、近くに住む彼女の友人が遊びに来た。
その彼もまた先日立ち寄った港町で知り合った人だったので、これもまた驚いた。
突然、色々な点が線に繋がる瞬間がまとめてやってきた。
雑誌を手に取ったときから連面と続く旅への思いがこの出会いを結実させたのか。
それとも。
南から吹き抜けるパタゴニアの風が彼女たちに会わせるために僕をサンティアゴに押し戻したのか。
南米を走ってきたご褒美のような
素晴らしい瞬間に巡りあうことができた。
Graciaaaaas!!!!

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