朝。
湖に落ちる朝日の陽光を見つつテントを撤収する。
さすがに高地なので、そこそこ冷えるが
指が切れるような痛みと格闘しつつテントを畳んだあのボリビアの高地に比べれば遥かにまし。
順調ならあと、2~3時間後にはこの山も下りきるだろう。
キャンプのお礼を伝えに、ホテルのレセプションに行くと
昨日の支配人らしきおばさんがもう働いていた。
朝も早いにも関わらずチェックアウトの黒山でごった返す受付。
そのすき間から、簡単に挨拶だけでもと機を見計らっていると僕に気付いた彼女が
『朝ごはん食べてくでしょ?』
と、さも当然のように僕を社食の食堂に招いた。
さすが高級リゾート。
社食ですらこのクオリティ。
ハム&チーズにパン、そしてコーヒーをたらふく食べて、今度こそお礼を伝えにいく。
拙いスペイン語で感謝を伝えると
『いいのいいの、気にしないで。その代わり、私が日本に行ったときはよろしくね』
と返されてしまった。
こんな風にスマートに旅行者に無償の親切を与えれる彼女の懐深さに感服しつつホテルを後にした。
サンティアゴまで145km。
彼女にパワーをもらった今なら、今日中にいけちゃう気がするぞ。
ホテルゾーンを抜けると一気に標高を下げるべくつづら折れに。
まじで99回折れてるんじゃないかってくらい、折り返しまくる。
うね、うね、うね…
とカーブを曲がる。
こういう下り坂の場合、見た目には面白いが
ブレーキを使って減速しつつ下らなければならないので少しつまらない。
つづら折れを抜けるとカーブの緩やかな谷沿いを行く。
トラックがエンジンブレーキを使いながらゆっくり下る所を、僕は姿勢を低くしブレーキを開放し一気に下る。
うぉぉー、行ったれー!!
何台ものトラックを大外一気で抜き去る感覚は、本当に筆舌に尽くしがたい。
上りのときはさんざん抜かれまくっているから、なおさらだ。
気がつくと
あっという間に下りきった。
勢いそのままに、麓のロスアンデスには寄らず一気にサンティアゴを目指す。
残り80km。
ところが、サンティアゴに続く幹線道路は左右を山に挟まれ思いのほか再び上りに転じた。
首都の標高が500mほどだから、てっきりあとは平地かと思った。
そして気候がガラリと変わって、めちゃめちゃ暑い。
ロスアンデスで休憩を行けなかったことを少し後悔しかけたが、ナイスタイミングで野菜直売所併設の売店発見。
いつ以来?か忘れたが久々にジンジャーエールを発見し、それと一緒にこのあたりの飲み物であるモテもオーダー。
モテは小さなモモと麦をシロップのようなものにつけた飲み物。
見た目の濃厚さに反して、割と飲みやすく、暑さで乾いた咽をほどよい甘みで潤してくれる。
一息ついて再出発。
坂を登り切る手前で再びトンネル登場。
昨日の国境のトンネルと同じく自転車通行不可。
手前で道路局のトラックを呼んでもらって、トンネルの向こうに渡してもらう。
トンネルがある事自体が文明を感じるのだが、さらにちゃんと自転車の規制をしているんだから
チリは先進国だなぁ。
ってここトンネル以前に道路自体がもともと自転車通行不可なんだけども 笑
まぁさすがにそこはラテンとゆーか。
サンティアゴ近郊になるとさすがの交通量で、料金所も増えてきた。
ここでももちろんお咎め無し。
そしてマック登場。
寄ってないけど、外で市内の地図調べるために勝手にネット繋がせていただきました。
渋滞をかい潜りつつ、市内中心を目指した。
中南米の首都に付き物の排ガスやホコリもなく、早く行けやと言わんばかりのクラクションの嵐もない、
それに乗れ乗れーというコレクティーボの客引きの声も聞こえない。
盆地にあるサンティアゴは排ガスによる大気汚染が問題になっているそうだが、各国の首都に比べれば遥かにまし。
それこそラパスなんかと比べれば雲泥の差だ。
渋滞で進みは遅かったが、ひどく淡々と交通が流れている。
そのことに、いいも悪いもないし、どちらかと言えばありがたいくらいなのだが
どこか肩透かしを食らった気分であっさりとセントロに着いた。
そこから少し離れたところにある目的の宿に投宿。
ベッドのマットもよくって快適に過ごせそう。
ここでイースター島やこれから始まるパタゴニアの準備をしたいと思う。
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