メンドーサを出発して二日目、南米最後の3,000m越えになるであろう
チリ・アルゼンチンの国境リベルタド-レス峠を目指していたときのこと。
前日は西からの強い風を凌げる廃屋にキャンプし、今日中に国境近くまで行ければと思っていた。
朝イチでウスパジャタの村をパスし、進路が西に向かった瞬間だった。
早い時間にも関わらず、激しい西風が吹きすさんでいる。
村の防風林地帯を過ぎると、風を遮るものは全くなく、これまででも最高クラスの風が否応なしに叩きつけてくる。
はじめは向かい風だったので、登り坂ということもあって我慢して進んでいたが、
いつのまにか強風は東西南北あらゆる方向から吹き付けている。
ここはチリ・アルゼンチンの陸路において一番のメインハイウェイ。大型トラックの交通も多い。
ただでさえ、路肩のないアルゼンチン側。
風に煽られ何度かバランスを崩し、ヒヤヒヤした思いをしたので、
考えた末に、リターン。
ウスパジャタに戻ることに。
戻り道の途中、同じように風に苦しむイギリス人サイクリストのアランに出会い、
彼も僕と同じように引き返すことになり、宿を二人でシェア。
行きに1時間かかった道のりも、追い風基調の戻り道は僅か20分強だった。
宿に着いて写真を整理していたら、朝に撮った一枚の写真で手が止まった。
『風』
バス停に書いてあったもので、
お!日本語と思って撮ったものだが、実はこれはちょっとした予言だったのかも。
初めて風に敗退した日。
今からパタゴニアの風が心配だ。
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