2012年12月21日金曜日

ボリビアンショック

北部チリの一大観光地であるサンペドロ・デ・アタカマ。
砂漠にポツンと現れたこのオアシス都市は街自体もチリで最古の部類に入る白い町並みが印象的な街。
周囲にはウユニ塩湖についで世界2位の規模を誇るアタカマ塩湖、
侵食された岩肌が月面を思わせる月の谷、少し北に行けば温泉とともにタティオ間欠泉などがあり、観光には事欠かない。
が、僕は似たような景色を宝石の道で散々見てきたので今回はパス。
宿に貼りだされた各種ツアーがボリビアから抜けてきた僕にとって驚愕的な値段に思えたのもあり。。

それに今の僕に必要なものは自然エネルギーじゃない!
都会のエキスだ!!!

ってことで、アタカマについた翌日、街の観光も一切せずにバスに乗り込み隣町のカラマへ向かった。
都会のエキスだ!なんて言っておいて何なんですが、実際はカメラの修理です。。
もしかすると数日かかるかもしれないので早めに出しておかないとね。

バスに揺られて1時間半。けんちゃんの定食2回分のお金を払って到着したカラマは大都会だった。
が、車窓から見える家屋はどれも画一的で、ちょっと不気味さとつまらなさを漂わしている。
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アタカマはまだ、アドベ(日干しレンガ)の家並みだったから、視覚的な違和感は少なかったけど
ここカラマは完全別世界だ。
昨日、以上に浮き足立ってバスを下りてセントロへ歩く。
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はぁぁ~、ほぉぉ~
などとため息というか感嘆というかが交じり合った声が自然と口から出る。
と同時に、今の僕の格好は浮いてないかな?変じゃないかな?と不安になってくる。
最後にはボリビア帰りてぇーと泣きそうになった。

だって、ベンチですらこんなお洒落。
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カメラの修理屋はセントロの広場の角にあった。
早速、店内に入って修理のお願いをする。
すると思いのほか早く、今日中に修理してくれるとのこと。
といって完了品の受け取りは夕方になるというので、もう少し早くならない?と交渉したら
“シエスタがあるからどうにもならないよ”と一蹴されてしまった。
ついにシエスタ(昼休み)のある世界に来てしまったかー!
仕方ないので彼の指定した時間で了承。

とりあえず、腹が減ったので飯だ飯だと、さっき見つけておいたメルカドの一角にあるレストランで昼食をとることに。
安くて早くて上手い飯、といえばメルカド。
腹が減ったらメルカドへ行けが鉄則の中南米の旅だったが、ここチリでは違ったようだ。

クロスが引かれたテーブルに座って、定食を注文すると、まず食前にパンが用意された。
スープ→メインいう順序で食事が運ばれてくるところは一緒だけれど、
やはり味も上品というか粗野な感じがなくなった気がする。
お値段も安いとはいえないレベルだ。
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いかん、いかんボリビアと比べちゃいかん!と必死で自分に言い聞かせたが、
メキシコから中南米に入って南下とともに徐々に物価が下がり、最後は南米最安国のボリビアから
チリ入りしたものだから、感覚が追いつかない。
ボリビアンショックとでも言えばいいだろうか。
いやはや、これからやっていけるか心配だ。

その後は街をふらふら。
といっても特に見所のない街なのであっという間にセントロ周辺は歩き尽くし、
修理の終わる時間までほとんどセントロの広場でぼーっと過ごした。
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午後6時。
ようやく指定された時間になりカメラ屋へ。
修理をお願いした兄ちゃんを見つけて声をかける。
『やぁ、セニョール、修理は終わっているよ』
と彼。
さすが、チリ。
時間にはぴったり間に合わせてくるようだ。

修理が終わったカメラを取り出し、彼がスイッチを入れる。
故障した箇所のレンズの出し入れは問題なく動作しているようだ。
『バッチリだろう?』
そういって彼はカメラの電源を落とした。

レンズがウィィーンと小さくカメラに沈んでいく。

その瞬間。

一瞬、レンズの動きがカクっと止まりかけた。
しかし、その刹那、彼は親指であたかも何事もなかったかのように、
かつ僕には分からないように力づくでカメラのレンズを押し込んだ。

でも見てしまったのだ。

この瞬間に、ここでは完全な修理は無理なのだろうなと悟り、時間もなかったので
特に抗議もせず修理代金を支払い店を出た。
店の外でカメラの電源を入れ、落としてみる。
同じところでレンズの動きが悪くなった、がまぁギリギリで使えそうだ。

同時に、世界が変わってしまったかに思えたチリで、
まだこんな馬鹿馬鹿しい、騙し騙し合いのような部分が残っていたことに少し安心感を覚えた自分がいた。

いやぁ、よかった。チリといえど、南米は南米だ!
ボリビアンショックから少し立ち直りつつ、アタカマへ向かうバスに乗った。
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そして数日後、ギリギリで動作したカメラが結局壊れた。
あの野郎ーーーーーー!!!!!

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