2012年12月11日火曜日

仰ぎ見る空

半日休養をしたおかげで、心も体も充電完了。
今日は約4900mの峠越えだ。

明け方のコロラダ湖はやはりまだ赤くなく。
s-DSC09036
湖畔の道をガタガタ言わせながら進んだ。
このあたりになると、これまで無数にあったルートがほとんど一本に結集されることからコルゲーションがかなりひどい。
そして車に掘り起こされたゴツゴツの岩が行く手を塞ぐ。
s-DSC09037s-DSC09042s-DSC09043
湖の向こう側から峠越えが始まる。
思い切り体重を踏み込んで、ペダルに力を込めないとそのまま麓まで転げ帰りそうだ。
風に巻き上げられた砂埃をジャリジャリと噛みながら、一漕ぎ一漕ぎ踏み抜く。

何とか、峠は越えたもののその後もきついアップダウンが続く。
開けた大地に出たので、峠の時よりも断然風が強い。
s-DSC09045s-DSC09047s-DSC09052
きた道を振り返るとそこには、指の幅2本ほど幅の頼りない轍が刻まれていた。
ふらふらと真っ直ぐにすら走れていない轍、でもそれは一度も途切れることなくこの地に刻んできた。

はぁはぁと口を開けて息を吸う。
少しでも酸素を取り込むために、苦しくても上を向いて息を吸った。

そうしたら、空が見えた。

何にも邪魔されることのないたった1つの色彩。
不思議と空を仰ぎ見ていると、少しだけ苦しみが和らいだような。

高校の頃、僕は部活でハンドボールをやっていた。
顧問の教師は昔ながらの体育教師といった感じで、部員の中でも特に軟弱な僕はよく怒られた。
殴る蹴るはもちろんのこと、パイプ椅子で頭を叩き抜かれたり、なかなかにキツかった記憶がある。
そんな彼が一番怒るときは、試合で相手に点を決められ、僕らがうなだれるように下を向いている時だ。
『下を向くんじゃない!!』
顔を真赤にさせて、彼は僕らを叱責した。

あれから10年近く。
やっとあの当時の言葉の意味が分かった気がする。
南米の遥か山奥で、昔のことを思い出していたら何故か泣けてきた。
なんでだろう、あんなに当時嫌だったことも結局は自分の血肉になってたってことなのかな。

空を見ていると。

体は全身のあらゆるところから悲鳴をあげていたが、
不思議と気力だけは充実してくる。

僕は宝石の道の最高点4900mを目指していった。
s-DSC09053s-DSC09055s-DSC09059

0 件のコメント:

コメントを投稿