朝風呂を断念し、出発。
このあたりは、温泉による湿度の影響か、クスコより標高が高いのにそれほど寒くない。
それに同じような標高で雪に降られたネグロマヨの方がよっぽど寒かった。
うっすら雪化粧をした山に挟まれて高度をあげていく。
左右に広がる大パノラマは、恐ろしいほどまでにダイナミック。
一時間半ほどで峠に到着したのだが、この日は気持ちに余裕もあったのでまだ登りたいと思ったほどだ。
下りは下りでよかったのだが。
あっ
っとゆう間に下りも終えて再び4,000m前後のアルティプラーノ地帯へ。
隣をペルー・レイルの運行する豪華列車アンデアンエクスプローラーの線路とともにのんびりと走る。
どこまでも続く直線道路を気持良くサイクリング。
この日はプカラの村で走行終了。
翌日。
標高は下がったのに、めちゃくちゃ寒い。
出発早々、手が耐えられなくなって慌てて手袋をカバンの奥底から取り出す。
そして、何故か道が急に悪くなった。
車道は問題なく走れるダートなのだが、路肩に砂が溜まっていて走りづらい。
センターラインの代わりに石の土台でできたコーンが40m程の間隔で置いてあるため、行き交う車両も
幅をとって僕を追い越せず常にギリギリを通って行く。
一度砂にタイヤをとられてバランスを崩した拍子にトラックが追い抜いていって肝を冷やした。
次の町まで約60km。
もしかしたらそこまでこんな道が続くのかもと思ったら頭が痛くなった。
幸いにして30km程走った別な道との合流地点で元通りの綺麗な舗装に戻る。
よかったよかった。
そのまま昼前にはこのあたりではかなり大きな都市のフリアカに入った。
しかし、この街今までの高地の土地とはちょっと様相が違った。
ものすごい喧騒。
普通、高地の街は身の締まる気温も影響してか人々の服装や建物もしっかりしている。
それに比例して街も比較的落ち着きのあるところが多い。
たまに行き過ぎると、暮らしの香りすら漂わない寂れた集落もあったりするのだが。
ところがこの街。
街道沿いに露天が溢れ、車が渋滞し自転車タクシーがひっきりなしに往来する無秩序っぷりだった。
道も狭く、それに拍車をかけるように鉱山労働者のデモも行われていて街の交通機能は完全にマヒしていた。
おかげで脱出に時間がかかった。
でも、街をでるとこのとおり。
再び落ち着きを取り戻した。
いったいあの街はなんだったのか?
その後向かい風の中、平地をひた走りチチカカ湖畔へ到着。
チチカカ湖はペルー、ボリビアを分かつ湖で、淡水湖としてはアメリカ大陸で最大。
また、インカ帝国の初代国王マンコ・カパックが生まれたとされる伝説の残るいわばインカ発祥の地。
海を見る時とはまた違った深い青が空と湖面に映っている。
このチチカカ湖に栄えるプーノの街まではあと少し。
ただそのあと少しが長かった。
ここに来てきついアップダウンの繰り返しでかなり体力を奪われる。
一度見えたチチカカから離れるようにぐるりと迂回し一山越えたところでようやくプーノ到着。
これまたけっこうな急傾斜を下って、前もってあたりをつけていた宿マンコ・カパックinnへ。
ここがペルー最後の大都市。
チチカカ湖の向こうはもうボリビアだ。
悪路続きで有名なボリビアに入る前にしばしここで英気を養うことにしよう。
ところで、中学生並にしょうもない下ネタの好きな僕だがさすがにマンコ・カパックさんの直球さには恐れいった。
これまでもチンボテ、パイパイ、チンコ、マンコス、マラ等々ペルーでは数え切れないほど
珍名に出会ってきたが、最後の最後までペルーはやってくれる。
チチカカ湖。
そこはインカ帝国発祥の地であり珍名大国発祥の地かもしれない。
初代皇帝がこんなだもんなぁー。
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