2012年7月4日水曜日

早朝ランで充実の一日

ピウラ~チクラヨ間の強盗が活発だったのは90年代頃がピークだったらしい。
2000年に入って、強盗多発地帯はそれより南のチクラヨ~トルヒーヨがやばいようだ。
当然、さすがにそこは走りたくないので遠回りになるけど迂回路を取るつもりだ。
その迂回路はペルー沿岸部からアンデス山中に入りそのまま山の中を南下し、リマ近郊で再び海岸に下りてくるというもの。
そのルートの途中にはインカの皇帝も愛した温泉地カハマルカや、アンデストレッキングのメッカ・ワラスなどを繋いでいくルートで、海岸を走るよりも当然ハードなコースだが、その分見所も多い。

で、今いるチクラヨからどう進んでいくのかというと。

当初のルートではチクラヨに寄らずに、フェレニャフェからそのままアンデスに向かうつもりだった。
ただし、そのルートはカハマルカに着くまでの240kmのうちの大半が未舗装路。
そして4000mの峠越えがあるらしい。
登り自体は我慢が出来るけど、正直未舗装はなるべく走りたくない。
それはモチュミからフェレニャフェのたった15km程度でもう嫌になっていた。
けれど、ここから南は要注意ゾーン。
さてどうしたものかとひたすら地図を眺めつつ、この区間の治安情報を調べていた。

いま特に危険なのはここから100km南のパカズマヨというところからトルヒーヨまでの区間らしく
その手前、80km地点のチェペンからはカハマルカに向かう(地図上では)舗装路の道が出ていた。

地図を調べると、そのチェペンまでの間にも街はいくつか点在しているようだったし、おそらくほぼ平地の区間。
風さえなければ、4時間かからずに到着できることはこのペルーに入っての走行で実感としてあった。
夜明けの6時に出れば10時にチェペンに着く。
さすがに、朝っぱらのその時間に強盗という話は聞いたことがないので、危険地域の最前線まで行くことになるが
チェペンからカハマルカへ向かうことにした。

朝。
チクラヨのホテルを6時過ぎにでる。
本当は6時前に出発準備は整っていたが、宿の出口に鍵がかかっていた。
宿の親父を呼んでも寝ているらしく起きない。
いびきは聞こえるので近いようだが、何度も呼んだが起きなかった。
前もって、昨日明日6時に出るって言っておいたのに…
どうしたもんかと考え込んでいたら、コスタリカのサンホセのサバナ喜多側で松本さんに教わった
中米スタイルの呼び鈴、コインで鉄格子の柱を“カンカンカン”と鳴らす方法を思い出して
コインの変わりに宿の鍵で鉄格子を鳴らすと、効果覿面、宿の親父を起こすことに成功した。
ちなみにこの方法、一定の調子で柱を叩くのではなく、最初は弱く段々と強く10回くらい鳴らすのがポイントです。

なんとか出発の体裁を整えて夜明けのチクラヨを出る。
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夜明けだから人目につかずに街を出れるかと思ったら、そうは行かず、もう幹線にはモトタクシーやバス、新聞売りの人たちで溢れていた。
それでも、この人たちはちゃんと仕事をしている人たちなので、気がふれて強盗に変わる可能性は低い。
危険なのは、昼間から何をしてるか分からない輩に見られることだ。

チクラヨに入ったときと違い、出るときは割としっかりした建物が続き、半ばスラムのような貧民街はなくあっさりと郊外に出ることが出来た。
朝っぱらからトラックとバスの往来が激しい。
路肩が少し走りづらいので、本線の隅っこを走ろうにも本線がトラックの幅ギリギリしかない細い一車線だったのでかなり危ない。
仕方なく路肩を走ると、今度は路肩をモトタクシーが通り、どけとクラクションを鳴らす。
もう寄せれるスペースもないのは、一目で分かるはずなのにこの強引さにイライラ。
これだけの交通量なので、待ち伏せの可能性は少なくなったが違うところで精神力を削られてしまった。

街を一つ越えたところにゴミの投棄所があった。
土に返らないペットボトルなどもそのまま捨てられているのでゴミは減らずに溜まっていくばかり。
きついアンモニア臭の向こうで、何かが燃えていたり、そこのゴミを漁る人がいたりヒドイ光景だった。
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前方には砂漠の地平が広がる。
アメリカのモハベ砂漠のような、少々の潅木が生えた砂漠でなく本当に何もないところだった。
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車の往来が激しいといっても、万が一こんなところで襲われたのではひとたまりもないので、ペースを緩めることなく
漕ぎ続ける。

途中にいくつかの集落を通ったが、休憩はとらずに一気に通過。
中には、見た目やばそうな集落もチラホラ。
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なんだかんだ気の許せないサイクリングで正直なところ楽しくはない。

ハラハラしながら走るのはとても疲れるので、休憩するよりもさっさとこの区間を走り終えたいという気持ちが勝っていた。
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予定通り、10時前にはチェペンの街に入った。
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これまでの砂漠地帯からは考えられないくらい大きな街でホテルもたくさんあった。

メインストリート沿いの宿にチェックインし、散歩がてら昼飯へ。
チェペンの街はメルカド付近の喧騒こそすごいものの、危険はそれほど感じられないありふれた田舎街だった。
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ペルーといえば、世界2位の漁獲量を誇る海鮮大国。

ということで海にも近いこの街でペルー名物セピッチェを注文。

いつもの定食2回分の値段だが、そこは名物料理。
レモンの酸味とたまねぎの歯ごたえがタコやエビと絶妙に絡まって口の中で踊った。
美味し。
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昼ご飯と言ってもまだ12時過ぎ。
食事を終えたあとは天気もいいことなのでサイドバッグを久々に丸洗いし、自転車もシャワーに持ち込んで清掃。
どうせすぐ汚れることは分かっているが、やはり綺麗になると走る気も上がってくるというもの。
ちょっとした自転車の故障に気付くきっかけにもなる。
それに、まだまだ長い旅になるので、こまめに相棒はメンテナンスしておいてあげたい。

それにしてもこの作業量。
とても今日、走行をしていたとは思えない。充実の午後を過ごし、一日が二日に感じられるほどであった。

街にはセブンレブンがあった…
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明日からは、強盗海道をはずれて山岳へ。

もうハラハラドキドキしなくて済むぞ。
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