ポパヤンを出て以降、道幅は狭くなり所々アスファルトが剥がれたボコボコの道が増えた。
南北アメリカを貫通するパンアメリカンハイウェイといえども、
コロンビアにおけるポパヤン以南の重要度が低いためだろうか?
ボゴタ、メデジン、カリといった主要都市は全て中部に集中しているし、
名産のコーヒーも中部高原地帯が主だ。
そんな道の悪さに加えて、いよいよここからアンデスが想像通りの姿を見せるようになってきた。
平地皆無の山岳地帯。
谷底まで降りて川を渡り、再び次の山を上る、を幾度となく繰り返す。
これだけ山だったら都市も発展しにくいかな。
雲は相変わらず多く、いつ降り出してもおかしくない状況ではあるのだが、幸いにしてなんとか持ってくれた。
それにしてもアンデスの雲、標高に関わらず何故かとても輪郭がクッキリしていて力強い。
写真じゃ分かりづらいかもしれないが、本当に固体として存在しているかのようだ。
この雲を掴んで、上に乗ることができるんじゃないかって思えてくる。
あと数千年したらブライスキャニオンみたくなるかな?
モラハスという小さな街を過ぎると、完全な無人地帯へ突入。
ちょっと休憩。
とある長い下り坂を下り終え、橋を渡り、再びエッチラオッチラと上りに転じた時
ちょうど、ずっと並走してきた山脈を正面に捉えた。
このとき、何故か不意に涙が出た。
何も想像を絶する風景だったわけじゃない。
山頂に雲を蓄えたアンデス山脈は何十年も、何百年もずっと変わらずここに鎮座していたのだろう。
誰かに見向きされようが、されまいが。
ここは自転車でしか行けない場所だった。
自転車でしか感じ得ない地球の凹凸もあった。
最高峰でもなく、何かの遺跡があるでもない。
ここに見えるのはアンデス山脈に連なる名もなき山。
特別じゃない普遍の、素の景色。
あぁ、この景色を見るために僕は自転車で旅に出たんだ。
ふとそう思った。
0 件のコメント:
コメントを投稿