2012年4月30日月曜日

アンデス第2章開幕と突然の別れ

結局カリには2泊。
数日前にこじらせた風邪はまだ完璧に治っておらず、
明け方は雷もなっていたので延泊も考えたが、朝になると雲もだいぶ無くなっていたので出発することにした。
なにせ、雨季のコロンビア。
晴れている時に、走っておかないとあっという間に雨に取り囲まれてしまう。

次の目的地は130km先のポパヤン。
頑張れば1日で届く距離だがその先にはアンデスの険しい山道が待っているので
刻んで1泊2日で行くことに。

8時半にホテルを出る。
そのうち幹線にぶつかるだろうと適当に南へ。
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主要幹線に合流し、しばらく走ると市街地を抜け再び平地に。
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少し雨に振られはしたが、すぐに止んで50km先のサンテンダールの街まで平地は続く。
そこから先はアップダウン有りの山道になる。
山に備えて麓で休憩。
コロンビアでは珍しくエアコンの効いたコンビニがあった。
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というかここ、コロンビアナという食品メーカーのアンテナショップ?のような店でそこのものしか置いてなかった。
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さぁ山道に突入。

次に平地に会えるのは何千km先のことか…
ここからはしばらく山道が続く。

自転車という乗り物は気持ちで乗る要素が大きく
上りへの覚悟が出来ていると、けっこう上れる。

決して早くはないが、上れる。
決して楽ではないが、上れる。

ペダリングと呼吸のリズムを合わせてゆっくりゆっくりと…

これまで走ってきた轍が少しづつ上りへ耐性のある体にしていってくれたのかもしれない。

上ることがようやく楽しいと思えてきた。
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吹き出る汗が気になって時計を外しポケットに入れる。

しばらく上り続け、そろそろ休憩しようかなと思いペダルを止める。

コーラを一口飲んだ後
そうそうポケットに入れた時計をしまわなきゃと、ポケットに手を入れた。

…ない。

ポケットに入れたはずの時計がないのだ。

漕いでる最中に落としてしまったのか?

いつ時計を外したかは全く記憶にないが、たしか2,3km以内のはず。

時計を探しに戻る?この坂を下って、また登ってくる?見つかる保証もないのに?

一瞬、そのまま進もうかと思った。
あの時計は対して高いものでもなく、第一グアテマラで温泉に入った時
水滴が中に入り込んで、文字盤がかなり見づらくなってしまっていた。

でもやっぱり引き返して探してみることに。

時速6kmで上ってきた坂道をあっという間に駆け下りた。
道中ずっと地面を探したがやはり時計は見つからない。
民家もたくさんある道で、下っている最中にたくさんの人とすれ違った。
もしかしたらもう誰かの手にはめられているかもしれない。

それでもわずかな希望を抱いて再び坂を上る。
入念に道に落ちているものを確認しながら。

やがて休憩をしたポイントに戻ってきた。

やっぱり時計は見つからなかった。

なくしたものは仕方がないと思う。
だってそれはモノだから。また買えばいいだけの話。

だけど、自分の不注意でなくしてしまったことに大きなショックを受けた。
ペダリングしてるのにポケットに入れたら落とすのは当然の話だ。

時計を落としている事実に気付かず、気分洋々と坂を漕いでいた自分に腹が立つ。

自転車は気持ちがエンジンになる乗り物。
もとのポイントを過ぎ、時計が見つかる可能性が100%潰えた瞬間、
さっきまで漕げた坂道が漕げなくなってしまった。

息も絶え絶えで転がり込んだ、ガソリンスタンド脇のホテル。
ベッドに転がってしばらく休む。
いま何時だろう。
いつものクセで左手を見ると、そこには時計の形をした日焼け跡だけがあった。

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