つーか皆様そろそろ僕がアグアスに戻ってきた理由お忘れじゃないでしょうか?
遊んでるだけじゃないんすよ?
ただ居候してタダ飯食ってるわけじゃないんですよ?
何って…
映画っすよ、映画。
映画に出るから戻ってきたんすよ。
ってことでようやく本編・映画撮影編行ってみましょう~!
監督のヘクターから延期になっていた撮影の再開の知らせが届いたときにはもうすでに
アグアスに戻ってきて2週間が過ぎていた。
当初の予定では、今頃既に撮影を終えてシティに帰っていることだ。
その間、浅草に来るお客さんには“騙されたんじゃないの?”とか“メキシコだからいつになるか分かんないよ”とか
ひどい言われようだった。
撮影がなければ、タダ飯を食らうただの居候だ。
まぁこれでようやく胸を張って居候できる。
いや居候自体あまり威張れたものじゃないが。
撮影が決まったといってもいざ現場に着くまで安心は出来ない。
ここはメキシコだからな。
約束の日、約束の時間になり待ち合わせ場所であるヘクターの家に向かい、チャイムを鳴らすと彼の親父が出てきた。
“ヘクターはお昼に出てったよ、今日は夜になんないと帰ってこないよ”
予想通り過ぎるぜメキシコよ!
幸いにも親父が撮影場所を知っていたので住所を教えてもらいそこに向かう。
その住所に着くとそこは至って普通の家。
チャイムを鳴らしてみるとおばちゃんが出てきて、“ヘクターは?”と尋ねても誰よそれ?ってかんじでこの場所も違うようだ。
蛙の子は蛙。
メキシコ人の親はやはりメキシコ人のようだ。
ってか俺、いなくていいの?
出るんじゃないの??
帰っちゃうよ???
と9割くらい思っていたが、このままおめおめ帰ったら本当にタダ飯喰らいになってしまう。
残り1割だけの僕の見栄がもう少し探してみようという気持ちを残してくれて、辺りをウロウロとそれらしき建物がないか探しまわった。
すると
“アツシ!”
と声が聞こえ、その方向を見るとそこにはヘクターがいた。
“元気かい?シティはどうだった??いま、撮影の準備してるところだよ”
彼は特に侘びをいれるでもなく、普通に声をかけてくる。
準備はいいけどさぁ、時間も場所も合ってなくて俺帰るとこだったんだけどなぁ。。。
そこでは彼の撮影チームの仲間たちがセットを作成していた。
僕は学生の時にとある映画スタジオや美術会社でアルバイトしていたことがあったので少し懐かしい光景だ。
その百倍しょぼい感は否めないが。
しばらくそれを見ていると、日本人のような顔立ちをした男の子がやってきた。
その彼をヘクターに紹介される。
彼はシンジ。今回の映画の主演だ。
親も生まれも日本だけど2歳からこちらで暮らしているから日本語はあまり話せない。
しか、実は今回の映画の設定は近未来の日本という設定で、彼のセリフは日本語だ。
片言の日本語では様にならないので、アツシが自分の所の練習をしつつ彼の日本語トレーニングをしてくれとのことだった。
とここで初めて台本が渡される。
台本のセリフは日本語に訳されていていた(シンジのお母さんが訳してくれたらしい)
僕の出番は明日以降だから練習の時間はあるけど、シンジの出番はもうこの後のようだった。
それをこの期に及んでトレーニングとか、意味あるのかいなー。
と思いつつ練習。
練習。
練習。
ふぅ休憩。
…
練習。
練習。
…
…
…本番が始まらねぇ。
時刻はもう夜11時を過ぎていた。
ってかもう遅くて浅草帰れないし!
深夜12時頃、セット・カメラ・照明の準備が整いようやく本番開始。
アクションに関しては監督のヘクターが細かく注文を付けていたがセリフについては
彼も日本語が分からないので僕がOKか否か判断をしていた。
なんかこんなんでいいのだろうか…
結局この日の撮影が終わったのは午前3時。
幸いにも次の日は12時からと寝る時間はあったものの、肝心の浅草に帰れないので深夜にホテル探しで街を徘徊。。
たった数時間のために高いホテルに泊まりたくはなかったので、何件も回ってようやく180ペソのホテルを発見し即・就寝。
まさかここに連日連夜通うことになるとはこの時は知る由もなかった…
翌朝、一度浅草に戻って着替えと朝ご飯を食べてヘクターの家へ。
今回はちゃんと家に居てくれた。
と思ったら今度は始まらねぇ。
みんな平気で遅れてくるし、全員集まったのは1時間後。
そしてそこから始まるランチタイム…
こんなことならもう少し寝させてくれよ…
この日は近くの家を借りての撮影だった。
この日も撮影は深夜まで及んだ。
ここでの僕ら撮影チームはこの家を荒らしに荒らしまくった。
それは強者が弱者を蹂躙するがごとく、まじで好き勝手に家を荒らしぶっ散らかしている。
撮影のためには仕方が無いとはいえ借り物とゆーのまるでおかまいなし。
家の主も顔がピクピクと引き攣っていた。
呆れてものが言えないという状況はまさしくこのことをいうのだろう。
一応撤退の時に片付けや配置を元に戻すが、その戻し方もてんで適当。
恐るべしメキシコ。
そんな恐怖のチーム・ヘクターにおいて唯一の良心といえるのが僕をこの撮影に引き込んだ張本人のリノである。
彼はよく周りに気がつくし、気が利く。
みんなが散らかしたゴミをこまめに片付けるし、僕が少し退屈そうにしてると声を掛けてくれる。
あぁメキシコにもまともな感覚をもったやつがいるよーと感動さえ覚えてしまう。
そして長身のイケメンでありながら、喋り方はどこかとぼけていて気の抜けた感じに話す。
このギャップがやられてしまう女子も多数でリノにはローラというとびきりキュートな彼女がいて
これがまた本当にお似合いなんだ。
ちきしょう、羨ましいぜ。
リノ、お前はどこまでナイスガイなんだよ!
…と思ったのもつかの間。
翌日の撮影は同じ家での撮影のため現場直行ということで行ってみると、集合時間にはやはり誰も来ない。
頼りのリノも来ない。
僕と家主と30分待ちぼうけをしたところでぞろぞろとみんなやってきた。
そしてこの日の撮影は、別れを告げられた主人公が彼女を呼び止めるシーンがあったのだが
強い口調で彼女を呼び止める言い回しにシンジが苦戦していた。
そこで僕がふざけてシンジのセリフを横から叫んでみたら、それがヘクターのお眼鏡にかなったらしく
急遽主人公の声の吹き替えもやることになってしまった。
うーむ、臨機応変と言うんだか、適当というんだか…
で、肝心の僕の役どころはまだ撮っていないので、セリフの量を考えて主人公を地声、僕の役を少し声色を変えて
演じることにした。
これでも日本にいた頃は、“似てないけど誰だかは分かるモノマネ”とか“悪意のこもったモノマネ”を得意にしていた身だ。
けっこう声色変えるのは自信があった。
試しにやってみると、これまたヘクターに気に入ってもらえたのでこれでいくことになった。
ちなみに下の写真のようなピンクなシーンもあって、吐息とかも吹き替えるのかなと思ったが、これはシンジの地声でいくそうだ笑
ある日は湖で撮影。
連日連夜深夜まで頑張ります。ってかホテルとかレストランを借りるのに深夜じゃないと借りれなかった。
こんなかんじで映像を撮ってました。
撮り終えたら当然…
打ち上げ。
まぁこんなこと撮影中毎日やってたような気もするけど…
映像を撮り終えたといっても僕にはまだ吹き替えの録音が残っていた。
レコーディング中。
シンジの口の動きに合わせてセリフを言わなければいけないから結構難しい。
で…
今度こそ終了~。
四日間って聞いていたのに蓋をあけてみれば2週間ほどかかっていた。。
楽しかったけど、振り回されまくった2週間だったよ。
で肝心の僕の役どころですが…
【時は近未来の日本。
若き科学者アユム(シンジ)は長年の研究の末、
姿・形・記憶までも完全に再現するクローン技術の完成を目の前にしていた。
彼女のシボネを顧みずに研究に捧げてきた彼は、ある日シボネに振られてしまう。
シボネを諦め切れないアユムは、カズオ(僕)の忠告を無視し
自身の技術を駆使してもう一人のシボネを再生しようとするが…】
とゆうストーリーです。
僕は主人公の友人役。
ちなみに僕もスペイン語よく分からないため、最終的な結末はよく分かりません(笑)
オープニングだけ出来たたので見せてもらったらCGを使ったりして割と本格的な感じでした。
完成は今春とのこと。
さてどんな映画になることやら…
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