このまま南に抜けるとグランドティトンだが、その前にイエローストーンの最大の目玉であるオールドフェイスフルを見にいくのだ。
ここからオールドフェイスフルまで往復70km。
空身なので多少楽だけれども、それでも大陸分水嶺の2550mの峠を越えるのでちょっと気が重い。
スティーブはグランドティトンまでこのまま南下して、復路でここを通るルートなので今日でお別れ。
朝イチでジャクソンに向かって走っていった。
僕と明石さんはオールドフェイスフルへ向かって出発。
昨日のT字路を逆方向に行くといきなりの激坂が立ちはだかった。
朝から汗をポタポタと垂らしながら登る。
休憩しようにも辺りは蚊の巣窟となっていておちおちゆっくりできない。
ようやく着いた頂上は分水嶺だった。
再び太平洋側にタイヤを転がす。
ルートの都合上、この日は2度分水嶺を越えた。
なので往復4回越える事に。
さすがにこんなに超えると感動も何も沸かず。
峠でパチリ |
2時間ほどかけてようやく到着。
峠を越えてからは下りで気持ちの良い道だったたが、これを引き返すのかと考えるとちょっと酷な気持ちだったが、それに見合った光景をオールドフェイスフルは見せてくれるに違いない!と信じてヴィレッジへ。
ここはガイザーカントリーに位置し、一番の見ものであるオールドフェイスフルガイザーの他にも多くの間欠泉が集中していて、それらはヴィレッジから続く遊歩道で結ばれている。
オールドフェイスフルガイザーは、噴出の規模が大きいだけでなく、一定期間(約1時間)に一度噴出することからfaithful(忠実な)と名づけられている。
人の手でコントロール不可能な自然現象が一定期間しかも約1時間という手頃な感覚で噴出するということは、観光商品としてうってつけなわけだ。
なんて捻くれた見方をしていたが実際の迫力はどんなものか。
ビジターセンターへ寄り、噴出のスケジュールを調べると丁度15分後くらいに噴出が見れるそうなのでさっそくオールドフェイスフルへ。
ガイザーはビジターセンターの裏手に遊歩道で綺麗に囲われていた。
いかにも観光客向けのレイアウト。
もうすでにたくさんの人が噴出を今か今かと心待ちにしている。
待つこと15分。
次第に湯気の量が増え、アリ塚のように盛られた部分からドクンドクンと熱水が噴出した。
段々と熱水の噴出は高さを上げていき、周りの人たちもここぞとばかりに写真を撮る。
噴出のピークは1分ほど続き、再び高さを小さくしていった。
確かに見事な噴出だった。
けれど、率直な感想としては『…で??』
というかんじ。
それは明石さんも一緒だったようで、何か物足りなさがあった。
少し期待を裏切られた気分だったが、気を取り直して遊歩道を奥に。
ファイアーリバーと呼ばれる川沿いのトレイルには至る所に熱泉が沸き、抜群の透明度を誇るものから世にも珍しい不思議な色の泉までバリエーションに富んだ風景が見られるとのこと。
中でも、最奥部のモーニンググローリーの極彩色は世界中のツーリストを魅了して止まないのだ。
やがて遊歩道を歩き終え、モーニンググローリーに到着。
柵に囲われた中にはしょぼい小さな池がポツンと佇んでいた。
確かに色と透明度はすごいのだが、ただそれだけの感じ。
こうして楽しみにしていた、オールドフェイスフル観光は幕を閉じた。
帰り道、ちょうど他の間欠泉が大噴出をしていたが、特に心を奪われることもなく過ぎ去ってしまった。
期待していた分のショックが大きかったためか、どっと疲れが出てしまいヴィレッジでの昼休みは子1時間ばかりロッキングチェアに揺られて昼寝をした。
その後、アイスクリームを購入。
オールドフェイスフルでの一番の思い出はこのアイスのうまさだった。
越えてきた峠を再び戻り、レイク地区のキャンプ場へ戻る。
峠から雨雲が見え、家路を急いだ。
予想通りその夜は凄まじい雷雨が辺りを襲う、夜中中雷が落ち続けた。中でも明け方の一撃は強烈で地面が揺れた。
眠れない夜、今日のオールドフェイスフルについて振り返った。
なぜあまり自分に響かなかったのか。
顧客満足は、送り手が提供するサービス、モノが受け手が知覚するサービス、モノを上回ってこそ満足となる。
僕は、オールドフェイスフルが楽しみでネットやガイドブックで予習をばっちり決めていたのでオールドフェイスフルに対しての要求レベルが知らず知らずに高くなってしまっていたのだ。
自転車世界一周の石田ゆうすけさんもマチュピチュを見て同じ様になったとか。
加えて,いかにもオールドフェイスフルを演出しようとするレイアウトもよくない。
ガラス張りのビジターセンターやロッジからもオールドフェイスフルは見ることができ、
『さぁ、あなたの好きなアングルで楽しみなさい』的なメッセージがわざとらしく見えてきてそれもゲンナリさせる要因かもしれない。
正直、園内を走っていて、突然道端で噴出している20cm程度の小さな間欠泉のほうが感動したくらいだった。
ショーっク!!!!
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