ベーコン、卵、トーストとこれまた北米らしい献立。
美味かった |
『これじゃおなか減るからもっと食べな』
とトーストをおかわりさせてくれた。
そうなんです、食べないと走れないんです。
分かってるなぁ、やさしいなぁと一人感動してしまった。
さぁここから峠越えだ。
この先のRogers Passは標高1330m。ここからは約500mのUp。
覚悟を決めて出るが、昨日までのUp&Downはなくひたすら登りだったので精神的には楽に走れた。
登頂! |
付近にはレストエリアがあり、ちょっとした記念碑やピクニックエリアが用意されていた。
しかし、僕はそんなものに目もくれず、その先に見えた建物を目指す。
出発前にキャンプ場で、レストランがあるという情報を仕入れていたので、そこで昼ご飯にしようと目論んでいた。
だが、着いたロッジは見るからに僕にとって敷居が高そうだ。
どうしようかな…
そう思っていると一台の自転車が目に留まった。
Surly Bikeだ! |
なによりリアトレイラーに貼られた“ADVENTURE CYCLIST”のステッカーが印象的だった。
写真を撮っていると、間もなく建物から持ち主が現れた。
名前はマイク。御とし50歳のチャリダーだった。
ここから300キロ程はなれたKelownaの街に住んでいるという。
ここから彼もBanffを目指し、Calgaryへ抜けその後北上し、Jasperに抜けるルートだそうだ。
50でこの行動力には恐れ入ったなぁ。
ちょっと興味あるなぁ。
なんて思っていると、
『今晩のキャンプサイトをシェアしないか?』
という願っても無い誘いが。
互いに今日はGoldenの街を目指しているのでそこで落ち合う約束をし、マイクは先に発った。
安全のためのリフレクター胴衣。なるほど賢い。 |
僕はそこのレストランは高そうなので諦め、ギフトショップで何か食べ物がないか見たがロクな品揃えでない。
手持ちの行動食のパイで簡単な昼食とし、Goldenでたらふく食べることを心に誓い出発。
朝からの曇天と標高が少しあがったこと、休憩で汗冷えしていることもありかなり寒い。温度計は8℃を示している。
Passを越えてしばらく下りになることも予想されたので、フリースを着込んで下りに臨む。
この下りが最高だった。
登りや平地がまったくない約10kmのダウンヒル。
時速50km超で一気に登って来た500mを下る。
標高貯金を放出していく寂しさもあったが、ここまで愉快に下りが続くのはたまらない。
先行していた一気にマイクを抜き去り、ロッキーにカミカゼを吹かせた。
その後は再び昇りが再び顔を出す。
登りまぁよいのだが、何よりきつかったのが、下りで勢いよくマイクを抜いたもんだから登りでひぃこら言ってるところを抜かされたのでは、面目が立たない。
自分の勝手なプライドだが、ここは日本男子の健脚ぶりをアピールせねば。
と必死に漕ぎまくった。
何度振り返っても、マイクは姿すら見えない途方の彼方だったけれど、それでも見えないプレッシャーに勝手にさらされながら走った。
途中の川。エメラルドグリーンが輝いていた |
17時過ぎにGolden到着。
街の入り口にあるマクドナルドでようやく食い物にありつき、ネットをしながらマイクを待つ。
1時間半ほど滞在しても、マイクが道を通る姿が見えなかったのでキャンプ場に行ってみるかと店を出た。
走っていると、すれ違ったサイクリストから
『アルゼンチンを目指してるヤツはお前か!?』
と声を掛けられる。
どうやらマイクがいつの間にかマクドナルドを抜けていて、そのサイクリストに僕のことを話していたようだった。
『マイクは今スーパーだよ。キャンプ場は予約してるのか?残念だけどいっぱいだよ』
と言われ、まじか~と思いながら、キャンプ場へと向かう。
その途中のスーパーでマイクと合流。
彼もまだキャンプ場に行ってないらしく、ダメもとで行ってみようとキャンプ場に向かうが案の定ダメだった。
この街を出るとヨーホー国立公園に入ってしまい、適当に野宿は出来なくなる。それに熊が出る恐れがある。
軟弱な僕は、キャンプ場じゃなくてもモーテルでいいかなと思ったが、
マイクは頑なだった。
『俺お金がない、モーテルは高すぎる』
使っているギアが高価なものばかりだったので、金銭的にゆとりがある人かと思ったが
ちゃんとこういうところでメリハリをつけているところが、いかにも北米の人間というかんじがした。
日暮れを待って野宿するというので、僕も乗りかかった船と思って一緒に野宿することにした。
ハイウェイ近くの朽ちたガソリンスタンドの裏にテントを張る。
奇しくも彼のテントは僕と同じMSR社のHABAだった。
彼は旅にi-padも持参していて、夜これまでの写真を見せてもらった。
アメリカのユタ州を旅した写真、愛犬のスタンピーをリアに乗せて旅した写真、家族、陸軍のころ…たくさんの写真を見せてもらったがどれも絵になっていてとてもサマになっている。
かっこいい年の取り方をしているとともに、今も現役で魅力的な旅を続けているマイクに憧れと尊敬を覚えた。
0 件のコメント:
コメントを投稿